Monday, 19 February 2007

文系の博士号、難しすぎ? 理系の3分の1以下

読んで一言、「バカじゃなかろうか」と思った。 asahi.com の記述について。

asahi.com:文系の博士号、難しすぎ? 理系の3分の1以下

文部科学省の調査だっていうから、元の情報を検索した。 どうやらこれがそうだ。
大学院部会における審議経過の概要-国際的に魅力ある大学院に向けて 
(審議経過概要)

この中で使われた参考資料の表をグラフに直して、asahi.com は掲載した模様。

それで、中間報告ってのは、これね。
新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて 
(中間報告)

まあ、細かいことはおいといて、asahi.com の記述に戻るとしよう。

大学が学生に博士号を与える条件は、「自立した研究ができる能力」があること。理系の各分野ではこうした考えが浸透しているが、文系の分野では約120年前の制度発足以来、「功成り名を遂げた人」に与える意識が根強く、理高文低の一因となっている。(asahi.com)

・・・だそうだよ。なんで理系と同じように、能力で授与しないのか?
「功成り名を遂げた人」って何だ?

文科省は05年9月の中央教育審議会(文科相の諮問機関)の答申を受け、大学院教育について学問研究とともに人材育成面にも力点を置く方針を打ち出し、その一環で修業年限内の学位授与を促している。同省の担当者は、文系の現状について「ちょっと低すぎる」とし、「どの程度の授与率が適当か、各大学院で考えてほしい」と話している。 (asahi.com)

この「答申」ってのは、コレね。
新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて 
(答申書)

「どの程度の授与率が適当か」だって?低くていいんだよ、まだ歴史が浅いんだから。そのうちに浸透してくるって、諸外国みたいに。ちゃんと「自立した調査能力」が備わった人に授与する、それでいいじゃないか。パーセンテージで考えるなよ。質を低くして授与数を増やしたら、「これだから日本は」って言われるのがオチだよ。「各大学院で考えろ」だって?理系にばっかり資金援助をして、文系への援助はほとんどしていないじゃないか。

データマイニングの分析プログラムなんか、15万もするんだぞ。ぼったくってるんだぞ。政府で援助するなりして、大学で安価にライセンス契約できるようにしてやったらいいじゃないか。Endnoteだって必要だし、SPSSだって必要。文系にだってテクノロジーは必要なんだ。そのための援助のことくらい、お前らで考えろ。大学任せにしたら、お前たちの方針なんて、誰が聞き届けるもんか。無視だよ、無視。

だって、博士号取った後だって、こうなるのがオチだし。
大学・公的研究機関等におけるポストドクター等の雇用状況調査 
(文部科学省 調査資料)

レベルの底上げを図るにはね、手っ取り早くそれをやるためには、先進国に倣って、同じようにやるしかないんだよ。「日本独自の」はやり方は、グローバル化とは言わない。諸外国に通用しないからね。アメリカでもヨーロッパでも、フォーマットは決まっているし、どうしたら学位認定に至るか、ってのもアメリカ式かヨーロッパ式のどちらかを選んで、それに倣えばいい。それだけのことじゃないか。スウェーデンやノルウェーだって、母国語の学位論文も、英語のそれと同じフォーマットを取っているよ。日本語でだって同じように出来ると思うけど?

ウチみたいな、オーストラリアのへっぽこ大学ですら、イギリスのフォーマットと同じようにやってる。現実は厳しいよ。でもみんなそれで頑張ってる。学位取得しても、それが他国に認められないようでは困る。きちんと同じようにやって、同じように評価されて、同じようにもらえる学位でないと!

こんな現状だから、社会科学や人文科学の「科学」がつく分野での研究をしている人は外国に行って学位を取ろうとしてるんだと思う。日本では「科学」がつくことを認めていないような傾向があるものね。日本で、Ontology とか、Epistemology とかちゃんと教えられる人が何人いるんだろうか。Research Methods や、Methodology をちゃんと教えられる人がどれだけいるんだろうか。

頑張れ、文系に所属する日本の大学院生よ!!

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