Monday, 19 February 2007

奨学金への道


奨学金が貰える時は、こんな手紙が来ます。

奨学金は、政府から、州から、大学から、そして学部から、貰う方法があります。私のは学部から出ています。どれも応募要綱は同じで、「ラウンド」と呼ばれる方法で、ふるいにかかります。私は大して良い成績ではなかったので、最後の学部奨学金引っかかりました。

まずは、以下の条件をクリアしなくてはいけません。
  • Masters by Coursework あるいは Bachelor で、GPAが6.0以上
  • Honours/Masters Dissertation で、Honours 1 (80点以上)
ここだけの話ですがね、各大学のホームページにある情報を鵜呑みにしてはいけません。上記の条件の他に奨学金授与の決定には、以下のような優先順位がつけられています。
  1. 学術雑誌に既に論文が掲載されている人(第一著者として)、次に掲載予定の人
  2. 学術雑誌に二論文が掲載されている人(第一著者以外)、次に掲載予定の人
  3. 学会誌に論文が掲載されている人(第一著者として)、次に掲載予定の人
  4. 学会誌に論文が掲載されている人(第一著者以外)、次に掲載予定の人
  5. 現役で、Dissertation の得点が高く、GPAも高い人

この「掲載予定の人」は、「掲載許可が下りている」状態のことを言います。

ですから、上記の二条件は「最低でも」というわけになります。実は皆さん、修士を終えた後に、意図的に浪人のようなことをして、空白時間をつくり、その間に学位論文をもとに、学術雑誌や学会誌へ記事を投稿し、その掲載許可を待ち、それが出来た時点で奨学金に応募しているのです。

これをやられると、現役がかなうわけありません。毎年学位論文の提出締切り日は10月末。奨学金の募集締切り日も10月末です。クソ真面目にスケジュール通りやっていては、奨学金を取るための記事の投稿ができなくなります。私の場合は、10月初めに論文を提出しました。その前から準備はしていましたが、7月からの学期で書き始めだったので、実質3ヶ月間で書き上げることになりました。9月末に下書きが完成し、エディター(校正係)に出してその後再修正。この間が2週間。こんな状態で、どうやって学術雑誌や学会誌への記事が書けるというのでしょう?裏のカラクリを使わないと、まず無理です。

一番多い手口は、学位論文が80点以上取れると確信の持てる場合に限っての場合ですが、「見切り発進」というものです。競技でのフライングと同じで、データ分析の結果が出た時点で、学位論文と投稿記事を同時進行させます。投稿してから審査発表まで3ヶ月から半年かかるので、もちろん記事の投稿を先行させます。10月末に学位論文を提出し、同時に奨学金申請もし、その際に「審査待ち」と添え書きをしておきます。審査が出次第、追加して「掲載の承認が得られた旨」の書類を追加提出します。

この方法は、本来はあまり効果的ではありません。リスクが大きいです。

次に多い手口は、学会誌への投稿です。こちらは結果が出るのが早いので、リスク面では同じですが、効果は高いです。私はこっちの手口を使いました。12月の時点では、奨学金給付の選考に漏れたのですが、「Waiting List」に載りました。その間に学会誌への掲載許可が下り、2月半ばに奨学金授与の通知が来ました。3月半ばで学生ビザが切れるところだったので、危うかったです。

現在はこの手が使えません。「掲載した人」のみになりました。だから意図的に浪人して、手っ取り早く学会誌に先に記事を投稿し、掲載許可の承認が取れた時点で、その年の「ラウンド」に応募するわけです。そうして浪人組みが毎年押し寄せてくるので、現役で奨学金を取れる確率は、年々厳しくなる一方です。

もっとも、要領よく、最初から記事の投稿を先行させて、上手いことやっている現役生も沢山います。指導官とタックルを組んで、第二著者として二つの論文記事を出せばいいのですから。先行投資というわけで、指導官の名前を前面に出して、掲載承認率を上げる作戦です。これは指導官次第、ということになります。能力と権威がない指導官の場合は、この方法は適用できません。

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